「探偵はどこも同じ」は大間違い。裁判で使えない“残念報告書”をつかまないための探偵事務所の見抜き方

「探偵はどこも同じ」は大間違い。裁判で使えない“残念報告書”をつかまないための探偵事務所の見抜き方

パートナーの浮気が気になって、探偵事務所への依頼を考えている方へ

パートナーの浮気調査や離婚を見据えた証拠集めで、探偵事務所の利用を検討する人は少なくありません。ところが現実には、「どこも似たようなものだろう」「とりあえず安いところで」と、たいして調べもせず決めてしまう人が少なくありません。

はっきり言うと、それはかなり危ない選び方です。

私は裁判実務の現場で、民事事件・離婚訴訟の案件中、多くの証拠書類と向き合ってきました。その経験からはっきり言えるのは、探偵事務所が作る調査報告書の質には驚くほどの“格差”があります。「これでお金を取っているのか」と疑いたくなるレベルの報告書も実際に見てきました。

探偵事務所の実力は、「調査力」と「調査報告書の出来映え」の掛け算で決まります。そして、その調査報告書は本来、

  • 裁判になっても耐えうるレベルである
  • できれば裁判に行く前の交渉・話し合いの段階で相手を黙らせるため
    に使う

べきだと考えています。

つまり、「裁判用の最後のカード」にするためだけではなく、「裁判に行かずに済ませるための強力な交渉材料」としての力を発揮してくれるのが理想です。

そのためには、調査員と機材を含めた調査力、証拠として耐えうる報告書の質、この両方をきちんと備えた探偵事務所を選ぶ必要があります。

この記事では、ハズレを引かないための探偵事務所の選び方を現場目線でお伝えします。

探偵事務所の調査力を実感したある出来事

裁判所での勤務経験を通じて「探偵事務所の実力差」は以前から感じていましたが、その「凄さ」を改めて実感したのは、退職後に転職した会社で起きたある出来事がきっかけでした。

担当案件を放置したまま突然消息不明になった社員がいました。警察への捜索願と同時に、ご両親が探偵事務所にも依頼。すると、依頼からわずか中一日で、居住地(関東)から遠く離れた九州地方で発見されました。

趣味にまつわる「思い入れの強い場所」を手がかりに、ネットワークを駆使して探し当てたそうです。警察への届け出だけでは、このスピードは出なかったでしょう。

実力のある探偵事務所は、浮気調査でも同じことができます。「どこで・誰と・何をしたか」を確実に記録する力が、そのまま交渉力に直結するのです。

探偵事務所の仕事内容

探偵事務所にはどんな仕事を頼めるか

「探偵=浮気調査」のイメージが強いかもしれませんが、「探偵業の業務の適正化に関する法律」という法律があって、その第2条に探偵事務所が扱える業務が示されています。

第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

これだけだとイメージが湧きにくいですね。 
探偵事務所によって取扱い業務の有無はありますが一般的な具体例は以下の通りです。 

  • 浮気・不倫
  • 人探し・所在調査(家出、行方不明)
  • 企業・個人の信用調査
  • 素行調査(結婚信用調査、身辺調査など)
  • その他(ストーカー、嫌がらせ、盗聴器発見など)

ざっくり言うと、個人の生活トラブル全般に関わる「証拠集めの裏方」を担うのが探偵の仕事です。

共通しているのは、「事実を客観的な記録として残すこと」。
いつ・どこで・誰が・何をしたのかを、後から誰が見てもごまかしようのない形で積み上げていくことが求められます。

ここでごまかしが効かないのが、調査員の実力と機材の差です。


人混みで対象を見失うような調査員夜間や悪天候だとまともな写真が一枚も撮れない機材――こういった“残念な現場力”は、そのまま「交渉に使えない報告書」として表面化します。相手に突きつけたとき、「こんな写真なら言い逃れできる」と思われた瞬間に、交渉材料としての価値は一気に落ちます。

調査手法等に関し、実際に裁判でどう判断されたかはこちらの記事で判例を使って解説しています。

「良い調査力」とは何か

良い探偵事務所の調査力は、きれいごとではなくかなり現実的です。
探偵事務所の調査力は、主に次の4つで差が出ます。

差が出る調査力4つ

観察力と尾行技術
人混みや駅構内、車での移動など、対象者を見失いやすい場面でどこまで食らいつけるか。ここは調査員の腕の差がはっきり出ます。

判断力と場慣れ
尾行がバレそうなとき、無理に追って警戒させるのか、安全に引いて別ルートで拾い直すのか。場数を踏んでいない調査員は、この判断を誤りがちです。結果として「決定的瞬間を撮り逃した」報告書が増えます。

機材への投資
暗所や悪天候でも“何が写っているか分かる”レベルのカメラなのか、単に「写真がなんとなく撮れているだけ」なのか。ここをケチっている事務所は、報告書の写真を見れば一目瞭然。交渉で相手に見せたとき、「これは言い逃れできる!」と思われたら終わりです。

チーム体制と下準備
一人で追いかけるのか、複数名で交代しながら追うのか。対象者の生活パターンや行動ルートを事前にどこまで分析しているのか。場当たり的な調査かどうかは、成果物を見ればすぐにバレます。場当たりの調査からは、交渉で相手の逃げ道をふさげるレベルの証拠はなかなか出てきません。

これらが総合されたものが「調査力」です。


調査力が貧弱な事務所は、どれだけ見栄えの良い報告書テンプレートを使っても、中身の薄さは隠せません。
そして中身が薄い報告書は、裁判どころか、その手前の「示談・協議・調停」でさえ相手を動かす材料になりません。

調査報告書の「出来映え」がすべてを決める

調査報告書には何が書いてあるのか

浮気調査であれば、対象者の外出時刻、移動手段、立ち寄り先、同席者、ホテルや飲食店への出入りの有無――こういった内容を時系列で記録し、写真や図、地図などを添付していきます。

問題は、その書き方です。NG例は以下のようなもの。

  • 日時の記載があいまい
  • 「親しげに歩いていた」「仲睦まじい様子だった」など主観的な形容詞だらけ
  • 写真と本文が対応していない

こういった報告書は、裁判所から見れば「感想文に毛が生えた程度」でしかありませんし、交渉の場でも相手に「そんなふうにも見えるけど違うよ」と言い逃れされて終わりです。

良い報告書はこうなっている

◆ 誰が・どこで・何をしているかが写真一枚で伝わる

◆ 夜間でも最低限の画質が確保されている

◆ 時系列が整理され、読み手が迷わない構成

◆ 客観的な事実だけが淡々と記録されている

こうした報告書を相手に見せると、「これを裁判に出されたら分が悪い」と直感させやすく裁判に行く前の段階で話がまとまりやすくなります。

調査報告書の役割としては、本来「調査力の成果を、法的に使える言語に翻訳したもの」ですが、それと同時に「裁判をちらつかせながら交渉で決着させるための材料」でもあります。弁護士に依頼して訴訟手続きをするとなれば、時間的にも金銭的にもより多くのコストを負わなければなりませんので、そうなる前に決着できればあなたの痛手は最小限ですむはずです。

「どの探偵事務所が作っても同じでは?」は大間違い

私は裁判所書記官として多くの証拠書類を見てきました。その経験から言えるのは、探偵事務所によって報告書の出来映えには歴然とした差があるということです。

探偵事務所に調査を依頼する目的は人それぞれだとは思いますが、安くはない費用を支払って調査依頼するからには、最悪、訴訟までもつれ込んでしまったとしても証拠として耐えうる内容がなければ調査報告書としての意味がないのは当然です。これは、訴訟手続きに関与してきた中で多くの証拠書類を目にしてきた経験から言えることです。誰かの尾行をして、何となくいっぱい写真が載っていて、日付があって、調査した形跡がある」ではダメなのです。

信頼できる探偵事務所を選ぶ5つのチェックポイント

①料金と契約内容が具体的か

安い高いの問題もあるかもしれませんが、それよりも「料金の明確さ」が大事です。「総額いくらです」「パック料金です」だけでは不十分。調査時間、経費、追加料金の条件など、細かい項目も書面で明示されているかを必ず確認してください。ここを曖昧にする事務所は、調査や報告書の中身もだいたい曖昧です。

②調査報告書のサンプルを見せる姿勢があるか

個人情報を伏せたうえで、実際の報告書イメージを見せてくれるかどうか。これを嫌がる事務所は、「見せられるほどの報告書ではない」可能性も疑った方がいいでしょう。
「このレベルなら、相手に見せたときどこまで黙らせられるか」という目で見てください。

③裁判だけでなく「交渉で決着させる」視点を持っているか

「裁判で使う可能性もあります」と伝えたときに、具体的な証拠量や調査期間の提案が返ってくるか。それに加え、「このレベルの証拠があれば、調停や示談でもかなり有利に進められます」といった話ができるかどうか。裁判のことしか頭にない事務所は、依頼者の負担を現実的に考えていない可能性があります。

④調査員・機材・体制について具体的に説明できるか

「何名体制で追いますか」「夜間はどう対応しますか」「どういった機材を使いますか」といった質問に、具体的な答えが返ってくるか。ここで歯切れが悪い事務所は、調査力に不安ありと見ていいと思います。調査力がないと、「交渉で相手の逃げ道をふさげるレベルの報告書」はまず出てきません。

⑤違法スレスレのことを平気で言わないか

“裏ワザ”が有効に働くこともありますが、違法スレスレのようなことを自慢げに話すところは要注意です。違法な調査は、そもそも証拠として採用されないどころか、依頼者側に不利に働くリスクすらあります。法律感覚がズレている事務所は、報告書の作りも信用しないほうが賢明です。

まとめ:探偵選びをサボると、自分の選択肢が減る

探偵事務所は「どこも同じ」ではありません。

冒頭で書いたように、えげつない調査力を有する事務所もあれば、箸にも棒にも掛からないような仕事しかできない事務所もあって、実力差が激しい業種のひとつだと思います。

探偵事務所選びの3つの軸【「脱・おふたりさま」バージョン】

⑴ 調査員と機材を含めた“本物の調査力”があるか
⑵ その調査力を土台に、裁判でも証拠として耐えうる調査報告書を作れるか
⑶ さらに、その報告書を“裁判に行く前の交渉で決着させるための武器”として意識しているか

この3つを満たす探偵事務所は、正直そう多くありません。

チラシの割引や、ネット広告の派手な謳い文句だけで決めてしまうと、最終的に「お金だけ払って、交渉でも裁判でも弱い報告書しか残らない」ということになりかねません。

辛口に言えば、探偵選びをサボるのは、自分の将来の選択肢を削る行為です。
だからこそ、「裁判でも通用するレベルの報告書」を前提にしながら、「できるだけ裁判に行かず、その報告書を武器に話をまとめる」という視点で、調査力と報告書の出来映えを軸に探偵事務所を選んでほしいと思います。それが、自分や子どもの今後の生活を守るための、かなり現実的な防衛策になります。

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