シングルマザーの平均年収272万円という現実 ─ 令和3年度全国ひとり親世帯等調査より

シングルマザーの平均年収272万円という現実 ─ 令和3年度全国ひとり親世帯等調査より

「いつか離婚するかもしれない」「もう別居に踏み切った」「すでにひとり親として踏ん張っている」
そんな状況にある方々、特に20〜50代の主に女性には今回の記事は現実を突きつけられる厳しい内容かもしれません。

ベースにしているのは、こども家庭庁(旧・厚生労働省)の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」。 ひとり親世帯の生活実態を定期的に追いかけている、かなりガチな統計です。出典:全国ひとり親世帯等調査

この「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」は100ページにも及ぶ資料で、ひとり親世帯の実態を知るには有益なものですが全てを詳細に読む込には時間・労力が必要です。

そこで本記事では、その中でも「収入」に関する部分に絞って

  • 母子世帯と父子世帯の収入差
  • 就業状況と収入の関係
  • 全世帯との比較
  • 養育費など“他人のお金”にどこまで期待できるか


を、少し辛口めに整理していきます。

※ 全国ひとり親世帯等調査は原則5年ごとの実施のため、令和3年度版が現時点での最新版です。

ひとり親世帯はどのくらい存在しているのか

令和3年度調査によると、日本にはおおよそ

  • 母子世帯:約119.5万世帯
  • 父子世帯:約14.9万世帯
が存在します。出典:全国ひとり親世帯等調査

圧倒的多数派は母子世帯で、ひとり親世帯の8〜9割を占めます。 ひとり親になる理由のトップは、母子・父子ともに「離婚」。 母子世帯では約8割が離婚によるものとされています。 ※参考資料:東京都の統計出典:生活文化情報サイト

つまり、「離婚したらひとり親」は、今の日本では珍しい話ではありません。
統計上も“よく見かける人生の一コマ”になっている。
だからこそ、「自分には関係ない」と目をそらし続けるのは、少し危うい時代でもあります。

平均収入で見る「母子」と「父子」のはっきりした格差

まずは一番わかりやすい「平均額」から。

令和3年度調査(対象となる収入は令和2年分)によると、親本人の平均年間収入は次のとおりです。出典:全国ひとり親世帯等調査
  • 母子世帯の母自身の平均年間収入:272万円
    • うち平均年間就労収入(給料など):236万円
  • 父子世帯の父自身の平均年間収入:518万円
    • うち平均年間就労収入:496万円

同じ「ひとり親」とはいえ、母子と父子で約2倍の差がついている。
就労収入だけ見ても、母236万円に対して父496万円と、やはりほぼ2倍です。

さらに、「同居親族を含む世帯全体の年間収入」で見ると、

  • 母子世帯の平均年間収入:373万円前後
  • 父子世帯の平均年間収入:606万円前後

となっています。
父子世帯は、世帯として見れば「平均的な日本の世帯収入」にかなり近い水準で、母子世帯だけが大きく水をあけられている構図がはっきり見えます。

就業率は高いのに「稼げていない」母子世帯の苦悩

「収入が低い」というと、「働いていない人が多いのかな?」と思いがちですが、とんでもないです。全くそんなことはないのです。

令和3年度調査では、母子世帯の母の就業率は86.3%
ほぼ9割が何らかの形で働いています。

そして、就業している母の雇用形態の内訳は、次のようになっています。

  • 正規の職員・従業員48.8%
  • パート・アルバイト等38.8%(派遣を含めると42.4%

一方、父子世帯の父は就業率88%前後で、雇用形態では「正規の職員・従業員」の割合はほぼ7割と報告されています。

ここから見えてくるのは、

母子世帯の母は「働いていない」から貧しいのではなく、
働いているけれど、非正規(⇒低賃金になりがち)が多い」から収入が伸びない

という構造です。

「私がちゃんと働いていないからダメなんだ」と、自分を責める方向に行きがちですが、
統計的には

  • 母子世帯での母は働いている人が大多数
  • ただし、職種・雇用形態の条件が悪い
    という話であって、「頑張りが足りない」と片付けるのはだいぶ乱暴です。

年収分布で見る「ボーダーライン生活」

平均値だけでは実感が掴みにくいので、年収分布も見てみます。 東京都の資料が、同じく令和3年度全国調査を引用して整理してくれています。参考:生活文化情報サイト

ひとり親世帯の年間収入帯は、おおむね次のような構成です。

母子世帯の収入分布

  • 年間収入400万円未満65.2%
  • 年間収入200万円未満21.1%

ざっくり言うと、
「母子世帯の約5世帯に1世帯は年収200万円未満」
「母子世帯の約7割が年収400万円未満

子どもを抱えながらの生活費・教育費を考えると、
かなりギリギリか、それ以下のラインでやりくりしている母子が多いことがわかります。

父子世帯の収入分布

  • 年間収入400万円以上69.1%
  • 年間収入200万円未満7.1%

こちらは逆で、7割近くが「400万円以上
同じひとり親でも、母子世帯と父子世帯では“経済的な階層”そのものが違う、といえるほどの差がついてしまっています。

もちろん、父子世帯ならではの大変さ(家事時間の確保の難しさ、支援に繋がりにくい等)も別途ありますが、少なくとも「収入」という一点に絞ると、母子世帯が圧倒的に不利なポジションに置かれているのは明らかです。

全世帯との比較で見える「スタートラインの違い」

では、日本の「一般世帯」と比べるとどうか。

同じ資料によれば、令和2年時点の全世帯の平均所得は564万円。 これに対して、ひとり親世帯は次のとおりです。参考:生活文化情報サイト
  • 全世帯平均:564万円
  • 母子世帯375万円前後
  • 父子世帯605万円前後

ここで注目したいのは、

  • 父子世帯全世帯平均よりやや上
  • 母子世帯:全世帯平均よりざっくり200万円近く低い

というポイントです。

同じ「子がいる世帯」でも、
母子世帯はスタートラインが2段くらい下にあるような状態でレースさせられている。
しかも、そこで戦っているのは主に20〜40代の女性たちです。

「離婚してもなんとかやっていけるでしょ」
「シングルマザーでも頑張れば大丈夫」

この手のフレーズは、励ましのようでいて、
統計の現実を知ってしまうと、少し無責任にも見えてきます。

養育費・公的給付は「メイン収入」ではなく“補助輪”

ここからは、「自分が働いて得るもの以外のお金」にどこまで期待していいのか、という話です。

養育費はどのくらいの家庭が受け取れているのか

令和3年度全国ひとり親世帯等調査のデータをまとめた弁護士サイトによれば、母子・父子の養育費の取り決め・受給状況はだいたい次のようになっています。参考:馬場綜合法律事務所|離婚コラム
  • 養育費の取り決めがある
    • 母子世帯:46.7%
    • 父子世帯:28.3%
  • 現在も養育費を受け取っている
    • 母子世帯:28.1%
    • 父子世帯:8.7%

つまり、

  • 母子世帯の7割以上
  • 父子世帯の9割以上が、

今現在、養育費を受け取っていない」ということになります。

これは、私が裁判所の現場で見てきた感覚ともかなり一致します。
公正証書や裁判所の和解調書で取り決めをしても、

  • 支払いがいつの間にか止まる
  • 勤務先が変わって差押えが空振りになる
  • そもそも相手に支払能力がない

など、「約束したけれど、現実には入ってこないお金」が山ほどあるのが実務の現場で感じた実感です。

児童扶養手当などの公的給付も「有難いけれど、圧倒的に足りない」

児童扶養手当などの公的給付は、母子世帯の収入を支える重要な柱ですが、金額的に見れば「生活費の一部」にしかなりません。

さきほどの平均年間収入の内訳を見ても、
母本人の就労収入236万円に、公的給付や養育費などが上乗せされて272万円程度。

差額は36万円程度ですから、
「手当さえあればなんとかなる」というほどのクッションにはなっていません。

「教育費は『奨学金×自治体支援×転職副業』で」

「慰謝料・養育費はあてにするな」をデータで裏付ける

当ブログ「脱・おふたりさま」でずっとお伝えしているのは、

離婚後の生活設計で、慰謝料や養育費を“メイン収入”として見込まないこと

です。

令和3年度調査の数字を眺めると、

  • 母子世帯の母の平均年間就労収入236万円
  • 養育費を現在受け取れている母子世帯28.1%
  • 母子世帯全体の平均収入でも全世帯より約200万円低い

という状況です。

この状態で、
「養育費もらえるはずだからなんとかなる」
「慰謝料を分割でもらえるし、そのうち転職すれば」

といった期待をベースに人生設計を組むのは、かなりリスキーな賭けだと、統計が冷静に教えてくれます。

少々きつい言い方をすれば、

  • 慰謝料は「たまたま入ってくるボーナス」くらいの位置づけ
  • 養育費は「もらえたらラッキー、もらえなくても死なない設計」が前提

くらいの気持ちでいたほうが、安全圏です。

じゃあ、何をすればいいのか:収入の「土台」をどう作るか

ここまで読むと、「現実がしんどすぎる」と感じるかもしれません。
そこで終わると、単に不安を煽る絶望クソ記事になってしまうので、最後に「行動」の話をします。

① とにかく「労働収入の軸」を1本、太くする

統計が示しているのは、「ひとり親の生活を支えているのは、結局、本人の就労収入である」という事実です。それが事実としてある以上、この収入の柱をどう太くしていくかが「脱・おふたりさま」ブログの主眼です。

  • 非正規が中心なら、「正規に乗り換える」
  • すでに正規なら、「より単価の高い仕事に徐々にシフトする」
  • フルタイムが無理でも、「時給の高いパートに乗り換える」

など、「時給×時間」を冷静に掛け算し直すことが、まず1歩目になります。

母子世帯の平均就労収入236万円という数字は、見方を変えれば「ここからどこまで伸ばせるか」が勝負とも言えます。

② 資格・スキル投資は“単価アップ”を狙う

令和3年度調査では、最終学歴別に収入がはっきり分かれている表も用意されています。出典:全国ひとり親世帯等調査

詳細は割愛しますが、
学歴・スキル・資格が収入に影響している傾向は明確です。

  • いきなり大学に入り直す
  • 高額なスクールに通う

といった話でなくても、

  • 事務職から専門職寄り(医療事務、福祉、介護、ITサポート等)へ
  • 在宅ワークに活かせるPCスキルを身につける

など、「今の仕事で時給を数百円上げるための投資」と考えると、現実的に動きやすくなります。

③ 転職エージェント・職業相談を「早めに」使う

令和3年度調査でも、「困っていること」として母子・父子ともに「家計」がトップです。参考:保険指導リソースガイド

にもかかわらず、
転職・就労支援の窓口に早い段階からアクセスしている人は、体感的にはまだ少数派です。

  • 今の職場で収入アップが見込めない
  • 休みが取れず、子育てとの両立が限界
  • 職場の人間関係が壊滅的

といった場合、
ひとりで求人サイトとにらめっこするより、

  • 転職エージェント
  • 自治体の就労支援窓口
  • ハローワーク内のひとり親支援窓口

など、「人に相談しながら選ぶ」ほうが、結果的にコスパがいいことも多いです。

このブログでも、ひとり親向けの転職・資格取得サービスなどを紹介していますが、
その根底にあるのは

統計が示すこの収入ギャップを、少しでも自分の力で埋めていくしかない

という、かなり素朴かつ現実的な発想です。

まとめ:数字は冷たいけれど、味方にもなる

令和3年度全国ひとり親世帯等調査の数字は、正直に言ってなかなか厳しいです。

  • 母子世帯の母自身の平均年間収入は272万円
  • 母子世帯の約5分の1は年収200万円未満
  • 養育費を現在も受け取れているのは母子で28.1%
  • 世帯収入で見ても、全世帯平均より約200万円低い

こう並べると、「やっぱり離婚なんてしないほうがいいのかな」と思いたくなりますが、私が言いたいのはそうではありません。

ポイントはただ一つ。

「結婚生活がうまくいかなくなる可能性」も、
「ひとり親として生きていく可能性」も、
どちらも最初から“人生の選択肢のひとつ”として計算に入れておこう

ということです。

そのために、

  • 他人のお金(慰謝料・養育費・親からの援助)は「あればラッキー」
  • 自分の就労収入をできるだけ太くする
  • 必要なら仕事を変える、学び直す、人に相談する

といった地味な準備を、まだ「おふたりさま」のうちから少しずつ始めておく

統計はただ淡々と数字を示し、冷淡に現実を突きつけているように思えますが、見方を変えれば「どこにリスクがあるか」を教えてくれる地図でもあります。

この地図を眺めながら、あなたにもし「脱・おふたりさま」の選択をしなければならない状況が来た時にも尻込みしないような環境を作っておいてほしい。

そのお手伝いを、このブログの記事群とともに、今後もしていければと思っています。

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