離婚を考えたら、まず「仕事」を見直すべき理由【慰謝料・養育費はあてにするな】

離婚を考えたら、まず「仕事」を見直すべき理由【慰謝料・養育費はあてにするな】

離婚を考え始めると、多くの人は
「子どものこと」「住まい」「親権」「感情の整理」に頭を占領されます。

その一方で、「これからどうやってお金を稼ぐか」というテーマは、なぜか後回しにされがちです。
慰謝料や養育費の話が出てくると、
「まあ、なんとかなるか」「相手も親なんだから払ってくれるはず」
と、どこかで期待してしまう人も少なくありません。

しかし、裁判所職員として多くの訴訟や強制執行実務の現場を見てきた立場から、はっきり言います。

慰謝料・養育費は、あればラッキー。
「もらえない前提」で人生設計を組むべき。

支払いの約束をきちんと書面化していても、
・そもそも約束を守らない
・支払えるだけの収入や資産がない
・差押えしても空振り

といったケースは珍しくありません。

だからこそ、離婚前から「仕事」と「稼ぐ力」を整えることが、
あなた自身と子どもの生活を守る最重要テーマになります。

この記事では、

  • 今のあなたの「仕事タイプ」
  • 離婚への進み具合(ステージ)

この2つを軸にしながら、
「慰謝料・養育費ゼロでも生きていける働き方」を一緒に考えていきます。

現状把握:あなたはどの「仕事タイプ」か?

まずは、今の自分がどのタイプに当てはまるのかを整理しましょう。
ここがあいまいなままだと、離婚後のお金の計算も、転職・就職の戦略も立てようがありません。

タイプ1:既に仕事をしている人

ヨネブロ
ヨネブロ

同じ「働いている」といっても、中身はかなり違います。

① 正社員フルタイム

  • 月給制で社会保険も完備
  • ボーナスや昇給の可能性もある
  • ただし、残業・転勤・異動のリスクも高い

離婚後にワンオペ育児をすることを考えると、
「収入はあるけど時間がなさすぎる」状態になりやすい
タイプです。

② パート・アルバイト・派遣

  • 時間の自由度は高め
  • ただし収入は不安定で、社会保険に入っていないケースも多い

配偶者の扶養内で働いている場合、離婚後は一気に立場が変わります。
「扶養の枠」という安全ネットが外れた状態で、
同じ働き方を続けて生活が成り立つか、冷静に計算する必要
があります。

③ フリーランス・個人事業主

  • 自分で仕事量を調整できる
  • 収入の波が大きく、国保・国民年金で負担感が強い

仕事が取れているときは良いのですが、
離婚でメンタルが揺れた瞬間に収入も一気に落ち込むリスク
があります。

→資金に余裕があれば勝負も可!FCで独立開業という選択

④ 自営業・会社経営(従業員あり)

  • 自分だけでなく従業員の生活も背負っている
  • 離婚が事業にも影響しやすい

財産分与や会社名義の資産など、法律的にもややこしい問題が絡みやすいタイプです。

タイプ2:今は仕事をしていない人

ヨネブロ
ヨネブロ

現在は働いていないパターンです。

⑤ 過去には職歴あり(ブランク1〜3年/3年以上)

  • 経験はあるが、ブランクがネックになりがち
  • 「今さら雇ってくれるところなんて…」と自己評価が下がりやすい

⑥ ほぼ職歴なし(専業主婦・専業主夫状態が長い)

  • 履歴書に書ける職歴が乏しい
  • 社会とのつながりが薄く、自信も持ちにくい

⑦ 育児・介護・病気など、働きづらい事情がある人

  • 働きたくてもフルタイムは難しい
  • シフトや体調に配慮してくれる職場を探す必要がある

どのタイプにせよ、
「慰謝料・養育費が入ってくるから、とりあえず大丈夫」
という前提で考えるのは非常に危険です。

むしろ、

慰謝料も養育費も入ってこない状態で、
今の働き方・貯金・生活費で何カ月持つのか?

ここから目をそらさないことが、最初の一歩になります。

離婚のステージ別:仕事の準備はどこから始める?

ヨネブロ
ヨネブロ

「離婚がどこまで進んでいるか」の視点で見ていきます。

ステージA:まだ離婚するか迷っている段階

この段階が、実は一番「動きやすい」タイミングです。
やるべきことは感情の整理ではなく、現実の整理です。

  • 家計簿アプリやノートで「今の生活費」をざっくり可視化
  • 自分名義の口座・カード・保険などを整理し、情報を手元に置く
  • 相手の年収・資産状況を把握しておく(あとで養育費の目安を知る材料になる)

ここで大事なのは、
「離婚しないと決めるためにも、離婚してもやっていけるのかを一度は計算してみる」
という視点です。

迷っているからこそ、
慰謝料・養育費をゼロと仮定したシミュレーションを一度やっておきましょう。

ステージB:離婚の意志は固めつつある段階

この段階に来たら、
「今の仕事のままで本当に回るのか?」という現実的なチェックが必要です。

  • 慰謝料・養育費ゼロで、今の収入だけで生活費は賄えるか
  • 保育園・学童・実家の支援の有無を踏まえたうえで、どれくらい働けるか
  • 今の会社・働き方でそれが実現できないなら、「転職前提」で考えるべきか

ここで多いのが、
「とりあえず話し合いが終わってから考えよう」という先送りです。

ですが、相手との話し合いや調停・裁判は、思っている以上に時間とメンタルを削ります。
その真っ最中に履歴書を書いて面接に行くのは、正直かなりしんどいです。

だからこそ、離婚を決めた瞬間から、
水面下で転職サイト登録や職務経歴書づくりを進めておく
ことが、後で自分を助けてくれます。

ステージC:手続き中〜別居・離婚直後

この段階は、とにかく「体力とメンタルが削られている」時期です。
仕事については、次の2つを優先しましょう。

  1. 生活費の最低ラインを維持できるだけの収入を確保
  2. メンタルが落ち込んでも、ギリギリ続けられる働き方を選ぶ

ここで「一気に理想の仕事を手に入れよう」とするのは、負荷が大きすぎます。
まずは「沈まない船」をつくる。
その後で、少しずつ「良い船」に乗り換えていけば十分です。

タイプ別:慰謝料・養育費ゼロ前提の仕事の選び方

ヨネブロ
ヨネブロ

想定される3つのケースを取り上げてみます。

【パターン1】正社員フルタイム×離婚の意志が固まっている

一見すると、最も恵まれているように見えるケースです。
しかし、実際には時間がなさすぎて子育てと両立できない」という問題が出がちです。

  • 残業が多い
  • 土日出勤・シフト勤務
  • 転勤・異動の可能性

なので、このまま「今の収入+慰謝料・養育費」を前提に家計を組んでしまうと、せっかく精神的な苦痛から解放されたにもかかわらず無理な働き方を続けざるを得なくなり、身動きがとれなくなるリスクがあります。

正社員で安定収入がある人ほど、

  • 「これくらいなら払えるだろう」と住宅ローンや家賃を高めに設定する
  • 学費・習い事などの教育費も、「慰謝料・養育費がある前提」で決めてしまう

といった形で、固定費をじわじわ上げがちです。

その結果、もし慰謝料・養育費が細ったり止まったりしたときに、

「残業を減らしたいのに減らせない」
「もっと負担の少ない仕事に変えたいのに変えられない」

といった“働き方の自由度”が奪われていきます。

戦略はこうです。

  • 今の会社で「残業少なめ・勤務地固定」の部署に異動できないか探る
  • それが無理なら、同業他社の「労働時間がマイルドな会社」への転職も視野に入れる
  • 手取りは多少減っても、「残業が月20時間減る」なら、その時間は育児や副業に振り向けられる

慰謝料や養育費を「生活費の前提」にしてしまうと、
相手の事情ひとつで、あなたの働き方や選択肢が簡単に縛られてしまいます。

正社員の安定収入で「最低限の生活費」を自力で賄う。
慰謝料・養育費は、あくまで“教育費の上乗せ”くらいに見る。

このくらいの感覚でいられれば、
仮に支払われなくなっても、「働き方を変えられないほど家計がガチガチ」という状態にはなりにくくなります。

【パターン2】パート・派遣×離婚を迷っている/準備中

このタイプでよくあるのが、
「相手の扶養内で働いているから、収入はそこそこでOK」という状態です。

離婚後、扶養という安全ネットが外れた瞬間に、
「今の時給×時間数では、全く足りない」という現実に直面します。

ここでの戦略はシンプルです。

  • 慰謝料・養育費ゼロでも、家賃と食費+最低限の生活費が払えるラインを試算
  • その金額を、今の時給と勤務時間に落とし込む
  • 「足りない分」を、
    • 時間数を増やす
    • 時給の高い職場に変える
    • 社会保険に加入できる働き方に切り替える
      などで埋めていく

たとえば、
「週3日・1日5時間=月60時間、時給1100円」で働いていた人なら、
月6万〜7万円ほどの収入
です。

ここから一気に一人暮らし+子どもを養えるレベルに引き上げるのは難しいですが、

  • 週4〜5日勤務にする
  • 時給を1200〜1300円に上げられないか検討(交渉、転職など)
    など、現実的にできる範囲で少しずつ底上げしていくことは可能です。

【パターン3】ブランクあり/職歴ほぼなし×離婚準備〜直後

一番不安を感じやすいのがこのパターンだと思います。

  • 「今さら雇ってくれるところなんて…」
  • 「子どもが小さいのに、どこで働けるの?」

そう思って動けなくなってしまう人は、本当に多いです。

しかし、ここで「慰謝料・養育費があるから、しばらくは大丈夫」と考えるのは、
危険な先送りになります。

発想を変えましょう。

いきなり理想の仕事に就くのではなく
「ブランクを埋めるための仕事」に一旦就く

です。

たとえば、

  • 介護職
  • 販売・接客
  • 物流・倉庫内作業

といった職種は、未経験でも採用されやすく、シフト制で融通が利きやすい分野です。

最初の1〜2年は「履歴書の空白を埋める期間」と割り切る。
そのうえで、3年後・5年後に狙いたい仕事を別記事などを参考に考えていく。

慰謝料・養育費ゼロ前提なら、
「とりあえず資格だけ取る」「勉強だけする」ではなく、
まず収入のラインを一本持つことが最優先です。

最悪シナリオから逆算する仕事選び

ここから、少しドライな切り口で考えてみます。

ヨネブロ
ヨネブロ

金銭面での現実を把握しておかないと話になりません。

慰謝料・養育費ゼロの家計を一度組んでみる

  • 家賃
  • 光熱費・通信費
  • 食費
  • 子どもの教育費(保育料・学童・習い事など)
  • 保険料
  • 税金・社会保険料

これらをざっくり書き出し、
「合計いくら必要なのか」を一度は数字にしてみてください。

その金額を、

  • 正社員なら月給
  • パートなら「時給×時間数」
    に落とし込むと、
    今のままでは、いくら足りないのか」がはっきり見えてきます。

ここで衝撃を受ける人も多いのですが、
そのショックこそが、行動を変えるエネルギーになります。

メンタルが折れても続けられる仕事か?

離婚前後は、想像以上にメンタルが削られます。
そんな中で、クレームだらけの仕事や、常に怒鳴り声が飛び交う職場にいると、
心身がもたなくなります。

慰謝料・養育費ゼロ前提で仕事を選ぶなら、
「多少給料が低くてもメンタル消耗が少ない仕事」
を選ぶという発想も大事です。

一社依存からの脱出

収入を一つの会社だけに依存していると、

  • 会社都合の退職
  • 嫌がらせ・パワハラ
  • 勤務地変更
    などが起きたとき、即アウトになりがちです。

離婚後の人生を考えるなら、

  • 本業+副業
  • 本業+資格学習
  • パートを2つに分ける
    といった形で、「収入源を分散させる」こともリスクヘッジになります。

慰謝料・養育費に依存するのではなく、
自分の働き方を分散させることでリスクを下げる
これが、長期的に見て一番現実的な守り方です。

離婚前にやってはいけない仕事の選び方

ヨネブロ
ヨネブロ

逆に、「これは危ない。やらないで!」というパターンも押さえておきましょう。

① 感情の勢いで退職する

配偶者との喧嘩やモラハラに耐えかねて、
「もう全部嫌だ!」と会社まで辞めてしまうケースがあります。

その瞬間はスッキリしても、
数カ月後、「貯金が尽きそう」「仕事が見つからない」という現実に直面します。

相手が素直に慰謝料・養育費を払い続けてくれるならまだしも、
現実にはそうならないケースのほうが多い。

感情は理解できますが、
退職と離婚は同時にやらない
これが鉄則です。

② 資格取得だけに逃げる

「とりあえず資格学校に通って…」というパターンも要注意です。

資格そのものは悪いものではありませんが、

  • 取得まで時間がかかる
  • 合格しても、実務未経験ではなかなか採用されない
  • 学費だけが先に出ていく

というリスクがあります。

慰謝料・養育費ゼロ前提で考えるなら、
資格を取ってから働く」ではなく、「働きながら必要な勉強をする」
ほうが安全です。

③ 「楽そう」「家から近い」だけで仕事を選ぶ

「とにかく楽な仕事がいい」「家から自転車で5分がいい」
その気持ちもよくわかります。

ただ、

  • 時給が安すぎる
  • 将来のキャリアにつながらない
  • シフトが不安定

こうした仕事だけに頼っていると、
数年後も、慰謝料・養育費がないと苦しい状態から抜け出せません。

完全に楽な仕事は、たいてい「稼げない仕事」です。
離婚後の生活を立て直すためには、
「適度にきついけど、ちゃんとお金になる仕事」を一つは持っておく必要があります。

ケーススタディ:慰謝料・養育費に頼らなかった人たち

最後に、イメージしやすいよう簡単なケースを挙げます。
(わたしが見聞きした事例を、詳細を省き簡潔に書いています)。

ケース1:30代パート女性が「社会保険付きパート」へシフトした例

  • 元々:週3日、扶養内パート(月収6万円前後)
  • 離婚を意識し始めたタイミングで、
    • 週4〜5日に増やす
    • 社会保険加入可能な就労形態へ変更
  • 数年かけて、月収を10万→13万→15万と段階的に底上げ

慰謝料・養育費は時々滞るものの、
「自分のパート収入+児童扶養手当」で最低ラインを支え、
養育費が入ったときは教育費用に回す、
というスタイルに切り替えました。

ケース2:40代正社員男性が「残業沼」から脱出した例

  • 元々、年収は高いが、月80時間超えの残業・出張まみれ
  • 離婚時、親権を取り、子どもと関わる時間を増やす必要があり、
    「年収は50万〜100万下がってもいいから残業が少ない会社」への転職を決断

結果として、

  • 年収はそれなりに下がったものの、
  • 平日に子どもの宿題を見てやれる時間ができ、
  • 養育費支払がないので自分たちの生活費を削る必要もなく、年収減少の影響は感じず

「稼ぎ」だけでなく、「時間」と「メンタルの安定」が長期的には自身と子どもを支えることになります。

ケース3:ブランク5年から介護パート→事務職へステップアップした例

  • 元々:専業主婦歴10年、職歴ほぼゼロ
  • 慰謝料は一時金のみ、養育費は支払いが続くか不明

まずは、

  • 自宅近くの介護施設で週3日パート勤務をスタート
  • 半年〜1年かけて、体力的な慣れと職場での信頼を積み重ねる
  • その後、同法人内の事務パートに空きが出たタイミングで応募し、採用

いきなり「事務職で週5・フルタイム」は難しくても、
「採用されやすい現場仕事から入る→内部で事務に移る」というルートは現実的です。

今日からできる、小さな一歩リスト

最後に、「今からできること」をいくつか挙げておきます。

  • 慰謝料・養育費をゼロとして、ざっくり家計シミュレーションをしてみる
  • 自分が「仕事タイプ」「離婚ステージ」のどこにいるか書き出す
  • 転職サイト・転職エージェントに1つだけ登録してみる
  • 職務経歴書・履歴書のたたき台をつくる(ブランクがあってもOK)
  • 「採用されやすい仕事」について情報収集する(介護・販売・物流など)

どれか一つで構いません。
「慰謝料・養育費はあてにしない」という前提に立ったうえで、
自分の人生のハンドルを自分で握るための一歩
を、今日から踏み出してみてください。

まとめ:慰謝料・養育費は“ボーナス”、自分の収入が“本体”

この記事全体を通して、繰り返しお伝えしたかったのはこの一点です。

慰謝料・養育費は、生活の土台ではなく「ボーナス」扱いにする。
生活の土台は、あなた自身の収入でつくる。

裁判所での実務現場で見てきた現実として、

  • 養育費が最初から決まっていない
  • 決まっていても払われない
  • 差押えをしても空振りに終わる

こうしたケースは、珍しくないどころかむしろ多いのです。

だからこそ、
離婚を考え始めたその瞬間から、
「仕事」と「稼ぐ力」の準備を始めることが、何よりも重要です。

離婚するかどうかの答えがまだ出ていなくても、
仕事を整えることは決して無駄になりません。

むしろ、

  • 離婚しない選択をしたとしても、自分の人生の選択肢が増える
  • 離婚することになっても、「あてにならない約束」に振り回されずに生きていけ

あなたの未来を守るのは、相手との約束ではなく、
あなた自身に「選択できる環境があるか」です。

その現実から目をそらさずに準備を始めた人から、
離婚後の人生はゆっくり、しかし確実に安定していきます。

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