はじめに|「紹介できる求人がありません」に傷ついたことがある人へ
転職エージェントを使ったことがある人の中には、「思ったより紹介されない」「希望と違う仕事ばかり」「そもそも連絡が薄い」といった“モヤモヤ体験”を持つ方も少なくありません。特に一般事務経験が中心だと、担当者の反応が冷たく感じたり、「事務は競争率が高いので…」と遠回しに断られたりすることもあるでしょう。(何を隠そう、私も初っ端にこういった扱いを受けた経験があるのです。)
でも、ここで伝えたいのはひとつです。
一般事務=可能性が狭い、ではありません。
むしろ事務は、うまく“見せ方”を変えるだけで職種を広げやすい仕事です。子育て中で時間に制約がある人ほど、現実的な戦略を持って動けば、働き方の選択肢は増やせます。
一般事務が冷遇されがちな“本当の理由”
一般事務が転職市場で不利に見えるのには、理由があります。能力が低いからではなく、市場構造の問題です。
人気職種ゆえの競争率
事務職は「体力勝負が少ない」「オフィスワーク」「未経験可もある」といったイメージで人気が集中しやすく、応募が殺到します。企業側は“いくらでも応募が来る”ため、選考基準が厳しくなりがちです。
「スキルが見えにくい」問題
営業なら売上、エンジニアなら成果物など、評価が数字や形で見えます。一方、事務は“支える仕事”。やっていることが重要でも、外から見えにくい。結果として「誰でもできそう」に見えてしまうのが痛いところです。
企業が怖がる“育成コスト”
事務未経験やブランクがある場合、企業は「教える時間が必要」「即戦力になりづらい」という不安を持ちます。採用枠が少ない部署ほど、その不安が強く出ます。
つまり、冷遇されるのはあなたの価値ではなく、採用側の都合による部分が大きいのです。
でも、一般事務は“武器が付けやすい”万能職種
ここが本題です。一般事務には、別の強みがあります。
それは、どの職種にも移植できる基礎能力を持っているということ。
事務経験で培われるのは、例えば以下です。
- 期限管理(締切を守る力)
- 調整力(人と人の間に立つ力)
- 正確性(ミスを防ぐ力)
- マルチタスク(優先順位を付けて回す力)
- コミュニケーション(社内外対応)
これらは「当たり前」と見なされがちですが、実はどの職場も欲しがっています。問題は、それが成果として見える形になっていないこと。
「作業」から「成果」へ言い換えるコツ
職務経歴書や面接では、次の変換を意識すると強いです。
- 🆖「電話対応をしていました」
→🆗「一次対応を標準化し、対応のばらつきを減らしました」 - 🆖「データ入力をしていました」
→🆗「月2,500件をミスゼロで処理し、チェック工数を削減しました」 - 🆖「スケジュール調整をしていました」
→🆗「部署20名の調整を行い、遅延を防ぐ仕組みを作りました」
言い換えのコツは、「量(件数)・質(ミスゼロ)・改善(短縮)のどれかを添える」こと。小さな工夫でも“成果”になります。
一般事務から広がるおすすめ職種7選
「事務の延長で移行しやすい」「子育てとも両立しやすい」観点で、一般事務系で広げやすい職種を挙げます。
チェックポイント
🙆経理アシスタント(簿記があると強い)
🙆人事・採用アシスタント(調整力が武器)
🙆労務・総務(幅広い事務経験が活きる)
🙆医療事務・介護事務(職場数が多く採用されやすい)
🙆カスタマーサポート(顧客対応経験が直結)
🙆ITサポート/ヘルプデスク(PCが苦手でなければ伸びる)
🙆バックオフィス代行(在宅)(事務の集大成、将来の自立に強い)
- ポイントは、いきなり大きく飛ばないこと。
- 「事務+少し専門性」に寄せるだけで、転職市場での立ち位置が変わります。
子育て期こそ効く|週3+スキルで“複線化”する
例えば子育て中は、時間・体力・予定が読めません。だからこそ現実的なのは、次の戦略手順です。
- 週3程度で安定収入を確保する
- 資格・スキルを積む(簿記、MOS、医療事務など)
- 条件の良い職場へ移る
- 在宅や副業に広げ、収入源を複線化する
離婚や別居など、人生が揺れる局面では「誰かが払ってくれるはず」という期待が裏切られることがあります。だから、最終的に自分を守るのは、自分の収入です。複線化は、精神面の安全装置にもなります。
転職エージェントのメリット・デメリットと“使い倒し方”
ここでエージェントの話に戻します。良い点も悪い点も、現実としてあります。
転職エージェントのメリット
- 非公開求人を紹介してもらえる
- 書類添削・面接対策が受けられる
- 給与や条件交渉を代行してくれる
- 職場の雰囲気など“内部情報”が得られることもある
- 応募管理の手間が減る(時間の節約)
転職エージェントのデメリット
- 担当者の質にばらつきがある(担当ガチャ)
- 早く決めさせようと急かされることがある
- 事務経験中心だと紹介が少ない場合がある
- 売りたい求人中心に提案されることがある
転職エージェントの賢い使い方
ではどう使うか。対策はシンプルです。
- 2〜3社併用する(求人の幅と担当ガチャ回避)
- 希望条件を数値で伝える(週3、勤務地、扶養、残業など)
- 合わない担当者は変更(遠慮不要)
- 自分でも求人サイトで並行探索(完全依存しない)
エージェントは“救世主”ではなく、道具です。使い方次第で味方にも、ストレス源にもなります。
まとめ|自分の収入で未来を変えるために、今日できる一歩
「事務しかできない」と感じるのは、能力が足りないからではありません。見せ方が整っていないだけです。一般事務は、実は職種を広げやすい土台があります。
まずは今日、次のどれか一つで十分です。
- 職務経歴書を「成果」に言い換える
- 資格の候補を一つ決める
- エージェントを複数登録して比較する
- 週3+スキルのロードマップを紙に書く
小さな一歩を積み上げれば、未来は確実に変わります。
あなたの人生は、あなたの収入で守れる。
そのための転職戦略を、今日から始めましょう。